以前、1型糖尿病を抱えながらも世界で活躍するスポーツ選手をご紹介させていただきました。
私が知ってるあの選手も実は1型だったってことがわかって、ブログを書きながら元気をもらったような気がします。
今回からは主にアメリカやイギリスなど、世界で活躍する1型糖尿病の歌手や役者さんについてご紹介していきたいと思います!
第1回目は、アメリカ全土が注目する人気オーディション番組「アメリカン・アイドル」の第5シーズンに出場した歌手、エリオット・ヤミンです。【1978年生まれ - 16歳で発症】
「Wait for You」は全米13位のヒット曲
決勝ラウンドではスティービー・ワンダーのKnocks Me Off My Feet(孤独という名の恋人)を歌ったエリオット・ヤミン。番組のゲストだったスティービー・ワンダー本人はその歌声に感動し、職業として歌う道を絶対に選ぶべきだと称賛したほどの歌声でした。
結果として優勝はできなかったものの、この大会で3位の成績をおさめてその才能が高く評価されたエリオット・ヤミンは、2007年にアルバムを発表し全米デビューを果たしました。
このアルバムからのシングルであるWait for Youは全米で13位のヒットを記録。Wait for Youは「自分の元を去っていってしまった彼女が自分の元に戻ってきてくれることをいつまでも待っている」という歌詞で甘く歌われる、ゆったりしたテンポの美しいバラードです。
エリオット・ヤミンは13歳の時に耳の感染症にかかり、鼓膜の手術を受けたことで右耳の聴力の90%を失っています。その後、14歳の時に両親が離婚して父親と共にロサンゼルスに住み始めることに。そしてさらに16歳の時に1型糖尿病の診断を受けており、決して順風満帆な人生を送ってきたわけではありません。
1型糖尿病を発症した時のことを彼は後にこう語っています。
「近所のレストランにいたんだけど、その時はすごく無気力で脱水症状を感じてたんだ。ソーダや水を飲むとすぐにトイレに行きたくなって、また飲んでって同じことを何度も繰り返してた。あまりにも気分が悪いから早めに家に戻って母に症状を伝えて血糖値を調べたんだよ。」
その時の血糖値はなんと680。
彼の母親も糖尿病だったので、すぐに血糖値を測れたことは不幸中の幸いだったのかもしれません。
エリオット・ヤミンはインスリンを持続的に注入できるインスリンポンプの愛用者ですが、やはり低血糖を完全に避けることはできないそうです。
過去に極度の低血糖を何回か経験しているので、現在は常にツアー用にブドウ糖の錠剤を携帯し、更衣室や楽屋にはオレンジジュースが置いてあるかどうか常に確認していると言います。
「以前、ステージ中に血糖値がかなり低くなっていることを感じたけど、近くにコーラの缶があったんだ。すぐにそれを飲み干したんだけど、次の曲でげっぷが出るようになっちゃって…。歌いながらマイクから離れるっていう変な動きをしないといけなくなったんだよ。その夜はお客さんと僕とで面白い時間を共有できたと思う(笑)」
1型糖尿病になって発生する困難なことを乗り越えるために、時には自分自身のことも笑うことが必要だと語るエリオット・ヤミン。右耳の聴力を失い、1型糖尿病になってもそんな風に前向きでいられる彼の曲を聴けば、落ち込んでる時も元気がもらえるかもしれませんね。
このドアを開けて戻って来ることを願ってる
だから今はひどく孤独なんだ
どうして戻れないんだろう
君が望むのはこんなことじゃないはずだよ
君は変だと思うかもしれないね
でも僕はまだ何もできてない
泣いている僕を置いていかないでくれ
愛するだけじゃ足りないのって
君が欲しいのはこんなことじゃないはずだよ
ベイビー、僕は君を待つよ
これが僕にできる最後のことだとしても
それ以外に何ができるかわからないから
君には僕が平気そうに見えてもそれは違うんだ
僕は君を待つよ
僕は待っているよ…