「TOO MUCH PAIN」はブルーハーツがインディーズ時代から歌っていたバラードで、自主製作された曲も含めると通算12枚目のシングルです。
1992年の3月にリリースされ、オリコンチャート最高位は29位を記録しました。
こんな素晴らしい曲がメジャーデビューしてから4年間もCDに収録されなかったことに驚きです。
しかもその理由が『ただ忘れていただけ』っていうんだからさらにビックリ。
もし自分が「TOO MUCH PAIN」を作った本人だったら、どのタイミングでリリースするのがベストかってことばっかり考えてるかもしれません…。
曲のタイトルは、自然な感じに訳すと『ひどい痛み』『耐え難い痛み』のような意味。
穏やかな夕焼けに照らされているようなノスタルジックなイントロを聴いているだけでも目が潤む。
精神的に疲れ切っているときに聴くと、いつまでも追憶から抜け出せなくなってしまうほどの引力を持った名曲です。
↓Youtube【TOO MUCH PAIN 【PV】】
もう今から30年も前のこと。
私が中学生の時にめちゃめちゃ流行っていたブルーハーツ。
でも当時の私はブルーハーツにはまったく興味が無く、WANDS、ZARD、DEEN、T-BOLANなどのビーイング系のバンドやB'zばかり聴いてました。
大人しい性格だったのでパンクっぽい見た目のブルーハーツをどこか敬遠していたのかも。
それでもその頃から「TRAIN-TRAIN」と「情熱の薔薇」だけは好きでしたけどね。
そしていつしか大人になり社会に出てからは現実に打ちのめされることも多くなったある日、たまたま流れてきたのがブルーハーツの「TOO MUCH PAIN」でした。
その時までの私にとってはちょっとパンクなイメージだったブルーハーツが、こんなに感傷的で、こんなにピアノやブルースハープの音色が美しい感傷的なバラードを歌っていたなんて…と目からウロコ。
歌っている映像をリアルタイムで見ることもできたのに、そのチャンスをみすみす逃したことをかなり後悔しました…。
はみ出し者たちの遠い夏の伝説が
という歌詞で始まるので、歌の舞台になっている季節は夏の終わりから秋にかけてくらいでしょうか?
陽が落ちる時間が早くなる初秋の夕暮れ時を連想する物悲しいメロディに、強制的に昔の記憶が呼び戻されるような感覚に陥ってしまいます。
「TOO MUCH PAIN」は一瞬で曲の世界に引きずり込まれてしまうほど、センチメンタルで鮮やかな情景描写で埋め尽くされています。
歌詞だけ見たら、国語の授業で習ったことのある有名な詩人が書いたんじゃないかと思う人がいても不思議じゃありません。
そして、素朴で飾らない歌声であるがゆえに強烈に胸を打つ、甲本ヒロトさんのボーカル。
若かった頃にこの曲を聴いていたわけじゃないのに、私はなぜかこの曲に少年時代、青年時代の自分を重ねてしまいます。
感動させるためにうまく歌おうなんてことは考えていない甲本ヒロトさんの真っすぐな歌声に、不器用な生き方をしてきた自分とどこか似たものを感じているからなのかもしれませんね…。