2000年代はダウンロードによる音楽配信が世間に広まった時代。
90年代に比べて音質は格段に良くなり、曲もそれまで多かったシンプルなものからシンセサイザーや打ち込みを利用したものが発表されるようになりました。
だけど2001年には宇多田ヒカルのアルバム「Distance」、浜崎あゆみのベストアルバムがともに400万枚を超えるヒットになったように、まだまだCDがバカ売れしていた時代でもあります。
ちなみにこの時は発売が同じ日になったことで『歌姫対決』としてかなり話題に。
結果として「Distance」の初回出荷枚数が300万枚を超え、1か国で最も早く売れたアルバムとしてギネスに載るほどの売り上げを記録して1位になっています。
今回はそんな音楽の転換期でもある2000年代に発売されたCDで私が購入したものの中から超おすすめしたい、隠れた名曲や隠れてない名曲をまとめてみました!
【目次】
①【2000年】Vlidge「Everybody Needs Love」
元ダンサーとは思えない圧倒的なボーカル力をもった二人組、Vlidge(ヴリッジ)。ユニット名は̪̺Bridge(橋)をもじった造語。男性二人組のボーカルユニットで一人が帽子をかぶっていることもあり、見た目には当時バカ売れしていたケミストリーに近いものがあったかもしれません。クリアでハイトーンなコーラスワークと元ダンサーならではのリズム感、R&Bやヒップホップを基調にしたメロディ。打ち込みと生音を絡めたサウンドはおしゃれで洗練されていて、どちらかというと洋楽を聴いているような感覚に近かったですね。
②【2001年】Skoop On Somebody「潮騒」
甘いバラードに定評がある3人組のボーカルグループ、スクープ・オン・サムバディのシングルでオリコン最高位は24位。頭文字を取って「S.O.S」と表記されることもありました。この曲はR&B調のスムースなメロディで、なんとなく曲を聴いているだけでも不倫の曲とわかるくらいセクシャルな魅力を持った曲。メインボーカルTAKE(タケ)がややウェットなボーカルで情熱的に「こんなに好きと言わせたくせに、あんなに好きと言ってたくせに」と歌う歌詞は不倫を美化するわけじゃないけど、胸に迫るものがあります。声量モンスターとして有名なT.Mレボリューションの西川貴教がカラオケの十八番にしている曲としても有名な曲です。
③【2001年】SCRIPT「Inspiration」
avex初のロックバンドとしてデビューし、1999年にドラマの主題歌に起用された「ESCAPE」がオリコン1位となる大ヒットを記録したMoonChild。そのMoonChild解散後にフロントマンだった佐々木収により結成されたバンドデュオがSCRIPTです。この曲は2001年にCDTVのオープニングテーマになっていた曲でオリコン最高位は39位。渋くて緊迫感のあるギターのイントロで始まり、Aメロ、Bメロ、サビの各パートのメロディはフックが効いていて、歌いやすくて、痺れるほどカッコいい曲なのになぜブレイクしなかったのかが不思議で仕方ありません…。クールな歌詞も曲の雰囲気に見事にハマってる感じがします!
④【2002年】くるり「ワールズエンド・スーパーノヴァ」
くるりは型にはまらない卓越したポップセンスで自分たちの音楽を世間に認めさせることに成功したバンドです。この曲は当時の私が持っていた、ポップなくるりのイメージとは全く違ったチルアウトなダンスナンバーで、オリコンでは最高13位を獲得。驚くほどシンプルなリズムなんだけど驚くほどクールで、徐々に厚みを増して盛り上がっていくサウンドは強烈な依存性を持っています。たんたんと気だるい感じで歌うボーカルスタイルが生み出す、独特なグルーブ感と陶酔感。一聴して名曲だと感じるようなインパクトはないかもしれないけど、何度も何度もリピートして聴きたくなるような不思議な魅力を持った曲です!
⑤【2002年】AIR「Last Dance」
儚くも幻想的なポップミュージックでファンを着実に増やし、いよいよこれからブレイク…というところで惜しまれつつ突如解散してしまったデュオ、Spiral Life。そのメンバーだった車谷浩司ことAIRの15枚目のシングルで、オリコンの最高位は27位を記録した曲。一時は激しめの曲に音楽性を変えたAIRでしたが、私のようなSpiral Lifeからのファンはパンクやラウドな曲よりもこの曲のようなメロウで儚げな曲調の方が間違いなく好みだったと思います。Aメロはほとんどベースとドラムだけで歌われるこの曲。バラード調のメロディでベースが一番主張している曲っていうのはあまり聴いたことがなかったので、当時の私にはめちゃめちゃ新鮮でインパクトがありました!
⑥【2003年】arp「桜」
男女二人からなるユニットとして2003年にデビューしたarp(アープ)。「桜」は「Reborn」という曲と両A面扱いで発売されましたが、オリコンチャートの最高位は67位。もっと世間に知られることができていれば間違いなくヒットしていたと思う、まさに隠れた名曲です。環境音楽的な奥行きと空間の広がりを感じるような幻想的なメロディと、荘厳でスピリチュアルなボーカル。ケツメイシ、コブクロ、森山直太朗、川口恭吾…桜をタイトルにした名曲は数多くあるけど、もし私が桜のコンピレーションアルバムを作るとしたら、arpの「桜」は絶対に外せませんね!
⑦【2006年】馬場俊英「一瞬のトワイライト」
遠い昔に付き合っていた彼女との過去を振り返った男性の心情を歌った曲です。10年前に悩んだことの答えは10年経過した今でも何一つわからない。そんな思いにふけり、気が付くと辺りはトワイライト(日没後の薄明かり)に包まれている…。こんなに曲の舞台となっているシーンの情景がこんなにハッキリとイメージできる曲はなかなかありません。流れるようなミディアムテンポの哀愁漂うメロディ。そして素朴で優しい歌声で歌われる歌詞を聴いていると、まるで5分間の短い映画を見ているように感情移入してしまいます。
⑧【2006年】カラーボトル「グッバイ・ボーイ」
仙台の路上出身のバンド、カラーボトルのインディーズ時代の心を揺さぶられる名バラード。インディーズ時代に発売された曲でありながら、有線のJ-POP総合チャートでは6位を記録しました。この曲は旅立つ親友に向けた男の友情を情熱的に歌った曲。別れの美しさを感じさせるようなイントロの悲しげなピアノの旋律だけでも涙ぐんでしまいそうになるくらい感動的だけど、そこからサビに向かってどんどん盛り上がっていく展開には胸が熱くなってしまいます。こみ上げる思い出を噛みしめるような、絞り出すように歌うボーカルスタイルも深く胸をえぐります。メジャーデビュー時にはこの曲を再録音されたものが1stシングルとして発売されていますが、インディーズ時代とは違ってソフトなアレンジになっているので個人的にはインディーズ時代の「グッバイ・ボーイ」がおすすめです!
⑨【2006年】Lambsey (ラムジ)「ラムレンジャー」
一辺倒ではないひねりのあるポップセンスを感じさせる曲を数多く発表。東方神起の「どうして君を好きになってしまったんだろう」の作詞をしたり、CMやテレビドラマにも曲が起用されたりしていたにもかかわらず、2013年に残念ながら解散してしまったラムジ。その3rdシングルとして発売されたのがちょっとおかしなタイトルのこの曲「ラムレンジャー」です。仕事や恋愛に対して腰が引けながらも、戦うぞ!という意気込みを戦隊もののヒーロー風に表現したタイトルなので、決してふざけて付けられたタイトルではありません(笑)。どちらかと言えば軽やかな曲調なんだけど、優しく絡みつくようなちょっと気弱にも感じられる歌声は切なさと暖かさが混ざった独特な魅力があると思います。
⑩【2007年】the pillows「スケアクロウ」
1991年のメジャーデビューから2019年までにシングル39枚、オリジナルアルバムを22枚も発表しているピロウズの24枚目のシングルとして発売された曲。商業的なことは度外視で自分たちのやりたい曲をやるというポリシーを持ったピロウズの曲はチャートの上位に食い込むことはあまりないけど、この曲はオリコン13位のヒットを記録しました。シャウト気味に絞り上げるようなボーカル。ポップなんだけど寂しげでクールなギターサウンド。全体的にニヒリズムを感じる歌詞の中でも特に「神様よりキミを信じる」という言葉は、バンドメンバーへの想いを歌ったこの曲の象徴となる感動的なフレーズだと思う。サビで盛り上がったまま曲が終わるのではなく、Aメロに戻って静かに幕を閉じるというラストは深い余韻と感動が残ります。
⑪【2010年】Chicago Poodle「Fly 〜風が吹き抜けていく〜」