1型糖尿病になったからには治療をしなければいけないんですが、それには大きく分けて3つの治療方法があります。
- 食事療法
- 運動療法
- インスリン注射
発症してから、早い段階で膵臓からのインスリンが出なくなってしまう1型糖尿病ではインスリンの注射は必要不可欠です。
しかし、インスリン注射だけ打っていればいいというわけではありません。
インスリン注射に加えて、「食事」と「運動」にもある程度気を使わないといけないのがこの病気なんです。
インスリンにも副作用がないわけではないし、食べた分だけインスリン注射を打てばいいって考え方だとどんどん太ってしまい、また別の問題が出てきたりしますからね(^^;)
【目次】
① 食事療法
食事療法とは、必要以上のカロリーを摂取しないようにした上で、いろいろな食事をバランスよく必要な分だけ食べることで摂取しなければならない栄養素を不足なく摂りましょうというものです。
この時、カロリー数だけではなく『三大栄養素』のどれに当たるものを食べたのか、ということも大事になってきます。
- 炭水化物(糖質)・・・血糖値上昇のピークが早い
- たんぱく質 ・・・血糖値上昇のピークは2時間後くらい
- 脂質 ・・・血糖値上昇はゆるやかでピークは5時間後くらい
三大栄養素のどれを多く食べたかによって血糖値の上がり方は全然変わってきます。
そしてそれを踏まえたうえでインスリン注射の量とタイミングを調整しないと、高血糖や低血糖になる時間帯が多くなってしまう危険があります。
バランスよく食べて栄養がかたよらないようにしないといけないわけで、そのためには肉とか魚とか卵とか野菜とか色々食べるわけですよね。
それらが三大栄養素のどれに当たるかを考えて、特定の栄養素だけを多く摂ったりしないようにするってのが若い時にはなかなか難しかったです。
私は病気になったのが高校2年の時期だったので、それまでたくさん食べていた食事を急に制限しなければならないと言われ、愕然としました(;'∀')
なんて感じでちんぷんかんぷんでした。
病気になるちょっと前までサッカーをしていたこともあり、それなりの量を食べていたのが急に量を減らさなくてはいけなくなったことでイライラすることも多く、親とケンカになったりしたこともありました(-_-;)
なんてかなり悲観的に考えてしまい、性格の暗さに拍車がかかってしまってましたね。
ちなみに今はかなりテキトーにやってます(笑)
② 運動療法
運動療法とは、摂取した食品のブドウ糖を運動により消費する、または運動することにより全身の血流を良くしてインスリンの効きを高めるための治療です。
基本的に、高くなってしまった血糖値を下げるためにインスリン注射をしていきましょう、というのがメインの考え方になるわけですけど、高くなるたびにそのつど注射を打つなんてことは学校や会社で拘束されているとなかなかできないことが多いです。
私はこの病気になってから、断続的ではありますけど日ごろからジョギングやサッカーなどの運動をすることで血流を良くしようという努力はしていました。
あと筋トレですね。1型糖尿病の人ならわかると思うんですけど、高血糖になるとなんか
「あ、いま筋肉が落ちていってる?血糖値が300以上になってるかも・・・」
みたいにわかるんですよね。300以上の高血糖じゃないと私もなかなか気づけないですけど。
それまでの部活動でせっかく付けた筋肉が落ちるのは嫌だったから、筋トレもしょっちゅうしていました。
もともと体を動かすことは好きなほうだったのでそれほどきつくはなかったんですけど、暑い夏とか、寒い冬とかはやっぱり走る気にならないときとかはありますね…。
昔はそれほど感じなかったですけど、この年齢(41歳)くらいになると手とかはかなり血行が悪くなってるみたいで、手だけが異様に冷たくて寒いって状態が普通になっちゃってます。
血行が悪くなって手から汗は全く出ないのでスーパーとかで買い物した時にビニールの買い物袋が開けられないとか、お札を数えるときに滑って数えられないとか・・・イライラします(笑)
でも走り終わった後に、指に針を刺して血糖値を測るときはいつもより血が多めに出ることがほとんどなので、ジョギングとかの有酸素運動は血行促進には効果的なんだなということは痛感しますね(^^;)
③ インスリン注射
これが開発されていなかったら私は今いったいどうなってしまっていたんだろうか…と思います。
記録で確認できる最古の糖尿病患者は、平安時代に権力を握り、華やかな貴族文化を作った藤原道長(ふじわらのみちなが)だと言われています。
同時代の公卿、藤原実資(ふじわらのさねすけ)が記した「小右記」にはこういう記述があります。
道長が50歳頃から急にやせ細って、昼夜を問わず水を飲みまくり、口が渇いて力が出ず、それなのに食欲は衰えることはなかった
これは糖尿病の典型的な症状であること、また、視力もどんどん衰えそのうち目の前の人の顔もわからなくなったという状況は、糖尿病の合併症である糖尿病網膜症であった可能性が高いと言われています。
他にも織田信長や夏目漱石、ドイツの作曲家であるバッハなどは糖尿病であった可能性が高い歴史上の人物として有名ですが、インスリン製剤が開発されたのが1922年らしいのでもし自分もインスリンが治療薬として使えない時代に生まれていたとしたらと思うとゾッとします…。
2019年11月時点では私は基本的に以下の4回は必ずインスリンを打っています。
- 朝食の前(または直後)・・・超即効型
- 昼食の前(または直後)・・・ 〃
- 夕食の前(または直後)・・・ 〃
- 就寝の前 ・・・持続型
そしてこれ以外にも状況に応じて追加でインスリン注射を打たなければいけない場合があります。
1型糖尿病は血糖値を下げるインスリンを分泌させることはできませんが、血糖値はストレスでも上がることはあるし食事の消化時間はまちまちなため、食事後の血糖値が上がるタイミングにピンポイントでインスリン注射の効果を持ってくることは簡単ではないんです。
各食事の前(または後)というのは、食事前の血糖測定で血糖値が低かった場合、食べる前にインスリンを打ってしまうとインスリンの効果が先に来てしまい低血糖になってしまうので、状況に合わせてインスリンは食事の直後に打つ場合もあります。
ただいつも食前に打ってるので、食べ終わった後にもう注射を打ったと思い込んでしまい、そのまま打たずに高血糖・・・なんてことも私はあるので要注意です・・・。
とにかく血糖値の動きは予測しにくく、いろいろな理由で血糖値が上がってしまうことが一日に何度かあるので、私は平均で1日にトータルで7、8回くらいはインスリン注射を打っていると思います。
1型糖尿病の方がみんなこんなに打っているかはわかりませんが私は食べたいものを食べる不良患者なのでこのくらいです(;^ω^)
インスリン注射を打つ体の場所
私が主に、お腹、二の腕、太ももに状況によって打ち分けています。
打ち分けている…というのはなぜかというと、インスリンの効果が表れるスピードは一定ではなく、体のどこに打つかで効き始めるまでの時間に差があるからです。
その時々の血糖値や何をどれだけ食べるかなどの条件や、注射の後に体をどれだけ動かす可能性があるかなどによって打ち方を変える必要があるんですね。
例えば、血糖値がそれほど高くないとき、食前にお腹にインスリンを打ってしまうと血糖値の上昇が始まる前に血糖値が下がってしまうため、低血糖になる危険が高くなってしまいます。
お腹>二の腕>太もも の順にインスリン注射が効き始める時間は遅くなりますが、太ももは必ず毎回効きが遅い…というわけでもないのでいまだに難しい部分はありますね。
それと、同じ場所にインスリンを打ち続けると、『インスリンボール』というものがその部位に発生してしまうこともあります。
インスリンボールとは、インスリンの成分が皮下組織にたまって固まってしまったもので、ここにインスリンを打っても効きが悪くなってしまうことからも、場所の打ち分けは必要なんです。
ちなみに注射を打つ場所はおしりでもいいらしいですけど、ちょっと怖いのでやったことはありません(;'∀')