Sistema_Solar

©2013 Wikipedia

神々の戦いや愛憎の歴史を伝えたギリシャ神話。

ギリシャ神話はその後のローマでギリシャ語に翻訳され、ローマに古来から伝わっていた神々とギリシャ神話の神々を同じものとしてアレンジした内容に変わっていきました。

その結果、ギリシャ神話とローマ神話でそれぞれの神が持つ性質(何を司る神か)が違ったり、性質は同じだけど名前が違ったり、そもそもローマ神話にしか登用しない神がいたりします。

太陽系の惑星の名前にはローマ神話から名付けられたものが多く、どんな神でどんな物語があるのか興味があったのでまとめてみました!

水星(Mercury)

herumesu

©イラストAC "acworks
さん"

英語読み Mercury マーキュリー
ローマ神話 Mercurius メルクリウス
ギリシャ神話 Hermēs ヘルメス

商業・旅人の神【メルクリウス / ヘルメス】

ギリシャ神話のヘルメスは、ローマ神話のメルクリウスと同一化されている商業・旅人の神。

ヘルメスは、タラリア(羽の付いた靴)、ペタトス(羽の生えた帽子)、カドゥケウス(二匹の蛇が絡まり羽が生えた杖)が特徴。

神と人間の仲介者と考えられ、カドゥケウスの力を使って冥界、地上界、天界を往復し、神々の命令を伝える伝令として活躍したと言われています。

また、死者の魂を冥界に連れていく役割と、逆に冥界から死者の魂を地上に戻す役割も担っていました。

盗賊の神?

最高神ゼウスとマイアの子で、神々の中でも突出して頭が良く、すばしっこく、それでいてずる賢いとされています。

生まれたその日のうちにヘリオス(アポロン)の牛をおよそ50頭も盗んだことから、盗賊の神と言われることも。

盗賊の神って、あんまりいい響きじゃないですね…。

天空を素早く移動することで、明け方と夕方の短時間にしか見ることができないと思われていた水星。

素早いヘルメスのイメージと似ていたため、ローマ神話のメルクリウスになぞらえたマーキュリーという英語名が水星に付けられました。

ちなみに英語では水銀もマーキュリーと言います。

水銀が捕まえようとしてもすぐに手のひらから逃げ出す、すばしっこい金属だということから名付けられています。

スポンサーリンク

金星(Venus)

apuro-dete

©イラストAC "acworks
さん"

英語読み Venus ヴィーナス
ローマ神話 Venus ウェヌス
ギリシャ神話 Aphrodītē アプロディーテー

愛と美の女神【ウェヌス / アプロディーテー】

神々でも心を奪われてしまわずにはいられないほどの美しさを誇っていたと言われる女神。

ローマ神話ではウェヌス、ギリシャ神話ではアプロディーテーという名前ですが、どちらもあんまり聞いたことが無い響きですね。

逆に、英語読みのヴィーナスは神々の中でも最も認知された呼び方かもしれません。

女神の中で最も美しいとされるその美貌を象徴するように、現代でも多くの名画が残されています。

しかしアプロディーテーが夫に選んだのは、最も醜いとされていた鍛冶の神、ヘパイストス。

それもあってか、アプロディーテーは火星の名前の由来にもなっている軍神アレスと愛人関係に。

美の女神とは思えない誕生の仕方

そんな美しいアプロディーテーは、神々の最初の王であるウラノスが息子のクロノスに切り落とされて海に漂った男性器にまとわりついた泡から生まれたとされています。

すごい誕生の仕方ですね…。

でも、ゼウスの娘という説もあるみたいです。

スポンサーリンク

地球(Earth またはTerra

Earth

©イラストAC "acworks
さん"

英語読み Earth アース
ローマ神話 Tellus テルース
ギリシャ神話 Gaia ガイア

大地の女神【テルース / ガイア】

地球(アース)だけは惑星の中で唯一、ローマ神話やギリシャ神話をもとにしていません。

ラテン語で地球を表す「Terra」がローマ神話の「Tellus」と響きも意味合いも近いです。

なので、テルースに相当するとされるギリシャ神話の女神である、ガイアが地球に関係する神と考える人もいるようです。

月の女神は【アルテミス】

arutemisu

©イラストAC "acworks
さん"

ちなみに地球の衛星、月の女神は太陽の神アポロンの双子の妹、アルテミス。

狩猟と貞潔の女神で、弓の名手とされています。

オリオンと恋をしていたアルテミスが処女神であるがゆえに、それを快く思わなかった兄のアポロン。

アポロンに騙された結果、アルテミスは海に入っていたオリオンの頭を自ら打ち抜いて殺してしまいます。

ゼウスに復活を懇願するけど受け入れられることは無く、落ち込むアルテミスを不憫に思ったゼウスが慰めるために夜空の星座にしたのがオリオン座だと言われています。

火星(Mars)

are-su

©イラストAC "acworks
さん"

英語読み Mars マーズ
ローマ神話 Mārs マルス
ギリシャ神話 Ārēs アレース

ギリシャ神話とローマ神話で性質が違う神【マルス / アレース】

血を見るのが好きな好戦的な性格と、殺すことが楽しみという残忍非道な性格で不誠実な神とされる戦の神、アレース。

最高神ゼウスの息子でありながら、この性格のために他の神々だけでなく、ゼウスからも嫌われていたほどです。

戦に関する神として兄妹のアテーナーがいますが、アテーナーの方は戦略や知略などを司るので粗暴なイメージはありません。

それに対して、アレースは戦いでの狂乱や破壊の象徴とされていて、災厄が起こるとまで言い伝えられている神です。

火星の表面は赤いので、戦火や血のイメージと結び付けてローマ神話で同一化されたマルスの名前が当てられています。

2つの衛星も戦にちなんだ名前

神の中では1,2を争うほどのイケメンで、金星のアプロディーテーと愛人関係にあり、2人の息子ポボスとデイモスがいます。

火星の2つの衛星、Phobos(フォボス)、Deimos(デイモス)はこの2人の息子から名付けられていますが、フォボスは "敗走"、デイモスは "恐怖" の意味で、やはり戦いにちなんだ名前になっています。

アレースはギリシャ神話とローマ神話では性質が違う神でもあり、ローマ神話でのマルスはギリシャ神話と同一化されるまでは農耕の神とされていました。

ローマ神話でも戦に関係した神ではあるけども、争いを好む野蛮な神としてではなく、戦いに挑む勇敢な神としてあがめられています。

木星(Jupiter)

zeusu

©イラストAC "acworks
さん"

英語読み Jupiter ジュピター
ローマ神話 Jūpiter ユピテル
ギリシャ神話 Zeus ゼウス

全知全能の最高神【ユピテル / ゼウス】

ギリシャ神話の最高神で全知全能の神、ゼウス。

神々の頂点に君臨し、古代ギリシャでは運命も超越する神としてあがめられました。

ひと振りで宇宙を焼き尽くすと言われているほど強力な最強の武器 "ケラノス(雷霆=らいてい)" も持っています。

ゼウスの前に宇宙を支配していたのが、父で土星の由来にもなっているクロノス。

これから生まれてくる息子が自分を超越するという予言を恐れたクロノスはなんと生まれてきた自分の息子を次々と飲み込んでいきます。

悲しんだクロノスの妻であるレアの願いを聞いた、クロノスの母ガイアに助けられたゼウス。

その後、成長したゼウスは召使いに扮してクロノスに飲み物を飲ませ、嘔吐させます。

クロノスの腹の中で成長し吐き出されたポセイドンやハーデスなどの兄弟、オリュンポスの神々を率いてゼウスはクロノス率いる巨神族(ティーターン)と戦い、勝利します。

支配する場所をくじびきできまり、その結果、ポセイドンは海、ハーデスは冥界、ゼウスは天界を統治するようになったんですね。

好色な神としても知られているゼウス。

ガリレオ衛星と呼ばれる木星の衛星には、ゼウスが寵愛した神話上の人物、①イオ ②エウロパ ③ガニメデ ④カリストの名が名付けられています。

半神の英雄【ヘラクレス】【ペルセウス】の父

神話を詳しく知らない人でも名前は聞いたことのありそうなヘラクレスとペルセウス。

どちらもゼウスと人間の女性の間に生まれた、半神の英雄です。

ヘラクレスは9つ首のヘビ「ヒュドラ」を倒した英雄で、ペルセウスは髪の毛がヘビの怪物「メドゥーサ」を退治した英雄とされています。

ちなみにゼウスも予言で自分の王位を脅かす息子が生まれると知り、予言が現実になることを恐れるようになりました。

父のクロノスは子供だけを飲み込んでしまっていたけど、ゼウスはなんと妻である女神メーティスごと胎児を飲み込んでしまいます…。

いつしか激しい頭痛に悩まされるようになったゼウスが斧で自分の頭を割らせた時に、鎧を着たまま飛び出してきたのが戦いの女神アテーナーだと言われています。

ate-na-

©イラストAC "acworks
さん"

アテーナーは女性だったため予言が実現することはありませんでしたが、鎧を着たまま頭の中から飛び出してきたっていうのがなんともすごいですね…。

土星(Saturn)

Saturn

©イラストAC "acworks
さん"

英語読み Saturn サターン
ローマ神話 Sāturnus サートゥルヌス
ギリシャ神話 Kronos クロノス

ゼウスの父にして農耕を司る神【サートゥルヌス / クロノス】

天界を支配するゼウス、海を支配するポセイドン、冥界を支配するハーデスの父であり、農耕を司る神でもあるクロノス。

神々の最初の王である父のウラノスを追放に追い込んだ神であり、ウラノスの次に宇宙を統治した神々の王でもあります。

ギリシャ神話では息子ゼウスが率いるオリュンポスの神々との戦いに敗れ、冥府タルタロスに幽閉されます。

しかし、ローマ神話のサートゥルヌスはイタリアの地で王になり、新たな黄金時代を迎えたとされているところが少し異なる部分です。

衛星「Titan(タイタン)」の由来

土星の衛星、「Titan(タイタン)」はクロノスが巨神族(ティーターン=Tītān)であったことから名付けられました。

また、現代でも豪華客船「Titanic(タイタニック)」恐鳥類の「Titanis(タイタニス)」など、巨大なものに「Titan」が付けられることにも由来しています。

時間を司る神であるクロノス(Khronos)とカタカナ表記が同じために混同されることが多いけど、土星と関係のあるギリシャ神話のクロノスとは違う神。

時間の神であるクロノスはゼウスの末子であるという説がありますが、当時のギリシャ人やローマ人でも混同してしまうことがあったみたいです。

天王星(Uranus)

uranusu

©イラストAC "acworks
さん"

英語読み Uranus ウラヌス
ローマ神話 Caelus カイルス
ギリシャ神話 Ouranos ウラノス

全宇宙を最初に統治した天空神【カイルス / ウラノス】

ギリシャ神話で宇宙を最初に統治したと言われる初代の神々の王で、のちの最高神ゼウスの祖父がウラノスです。

ウラノスの母であり妻でもある大地の女神ガイアとの間に生まれた百目の巨人ヘカトンケイル、一つ目の巨人サイクロプスの醜悪な見た目を嫌ったウラノス。

Cyclops

©イラストAC "acworks
さん"

自分の息子であるヘカトンケイル、サイクロプスをタルタロスと呼ばれる奈落に幽閉してしまいます。

それに怒ったガイアからの指示を受けた末子のクロノスに、万物を切り裂く鎌「アダマス」で男性器を切り落とされたウラノス。

その周囲に付着した泡から生まれたのが美の女神アプロディーテーだと言われています…。

天王星の衛星だけはなぜか神話になぞらえて名付けられてはいません。

ティタニア、オベロン、ミランダなど、イングランドの有名な劇作家「シェイクスピア」の戯曲に出てきた登場人物が由来になっています。

人気マンガ「ワンピース」の古代兵器として登場?

ちなみに、マンガ「ワンピース」には神の名を持つ古代兵器に、プルトン、ポセイドン、ウラヌスという名前が付けられています。

プルトンはウォーターセブンで作られた史上最悪の戦艦。

ポセイドンはリュウグウ王国の王女 "しらほし" 。

であることがすでに分かっていますが、ウラヌスに関してはいまだ不明です。

ちなみにワンピースには、神の名を持つ古代兵器として登場したプルトン、ポセイドン、ウラヌス。

プルトンはウォーターセブンで作られた史上最悪の戦艦、ポセイドンはリュウグウ王国の王女しらほしであることがすでに分かっていますが、ウラヌスに関してはいまだ不明。

天王星の由来になっている、ゼウスの前の天空神とされたウラノスが語源だと思われるので、空を飛ぶ兵器みたいなものなのかもしれませんね。

海王星(Neptune)

poseidon

©イラストAC "acworks
さん"

英語読み Neptune ネプチューン
ローマ神話 Neptunus ネプトゥーヌス
ギリシャ神話 Poseidōn ポセイドン

海と地震の神【ネプトゥーヌス / ポセイドン】

ポセイドンは最高神ゼウスの兄で「海のゼウス」と呼ばれるほどの圧倒的な力を持った海の神。

海の神としての印象が強いポセイドンは地震の神でもあり、三又の鉾を使ったその力は海や水だけでなく世界のすべての物質に及ぶほど強大でした。

地震の凄まじさは、冥界の王ハーデスが「地球が割けて冥界への道が開けてしまったのではないか」と危惧するほどだったと言われています。

現代でも有名な星座である「オリオン」と「ぺガスス(ペガサス)」は、どちらもポセイドンの子供です。

人間の王女との間にできた子がオリオン。

頭がヘビ、見たものは石になることで有名なメドゥーサとの間にできた子がぺガススです。

pegasusu

©イラストAC "acworks
さん"

アテーナーの怒りを買ったメドゥーサ

medusa

©イラストAC "acworks
さん"

ポセイドンの愛人、メドゥーサはもともとはかなりの美貌の持ち主でしたが、処女神であるアテーナーの神殿でポセイドンと交わってしまいました。

このことを知ったアテーナーは怒りますが、自分より高位にあたるポセイドンのことは罰することができないアテーナー。

結局はメドゥーサだけが罰として頭髪をヘビに変えられてしまいます。

そして怪物となってしまったメドゥーサは、アテーナーに借りた「アイギスの盾」を使ったペルセウスに討伐されてしまいます。

その時に切り取られた首の飛び散った血から生まれたのが、天馬ぺガススだと言われています。

ちなみにペルセウスはメドゥーサ討伐の帰りに、海にはりつけにされているアンドロメダを見つけて救っています。

コメントを残す

邦楽の記事一覧