①正直その頃の私には…

T-BOLANの「Love」を初めて聴いたのは、今から30年以上も前。まだ中学生の頃でした。

テレビやラジオから流れてきたこの曲は、情熱を秘めた感動的なバラードだなとは思ったんだけど、当時の私にはちょっと“大人っぽすぎる”と感じたのを覚えています。

 

「訳もなく悲しくて お前にすねた夜」

この冒頭のフレーズも、正直ピンとこなかったんですよね。恋愛の経験もなかったし、「すねる」とか「訳もなく悲しい」っていう感情も、どこか演技っぽく聞こえてしまって。

その頃は「Bye for now」や「マリア」みたいに、メロディが耳に残るキャッチーな曲ばかり聴いてたし、「離したくはない」みたいな王道バラードの方が心に響いていたんです。

だから「Love」みたいに、大人の感情や繊細な表現で作られている曲は、当時の自分が求めていたT-BOLAN像とはちょっと違っていたんでしょうね…。

でも、大人になってから改めて聴いたとき、驚きました。恋をして、失って、そんな辛くも愛おしい経験のおかげで、この曲はまるで別の歌のように思えるようになっていたんです。

 

YouTube【T-BOLAN「LOVE」MV】

 

 

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② Aメロとサビだけの構成で…

「Love」は、構成としてはとてもシンプル。

Aメロとサビだけの構成で、複雑な展開や転調はないんですよね。だけど、そのシンプルさの中には感情のうねりがある。

サビに入った瞬間、一気に気持ちがあふれ出すような熱さがあるし、間奏のギターも、ただの繋ぎじゃなくて、“心の叫び”みたいに響いてくる。

語りかけるようなAメロと、気持ちが込み上げてくる情熱的なサビ。そのコントラストが曲にドラマを生んでいて、気づけば胸の奥にじんわり残る――そんな「聴かせる演奏」なんですよね。

「Love」は、ただ感情を荒ぶらせるような曲じゃない。だけど、聴いているうちにどんどん胸が熱くなってくるんです。

森友嵐士さんの歌声が、抑えきれない想いを絞り出すように響いてきて、こちらの心にじわじわ火をつけてくる。

激しい恋じゃなくても、ふと心が揺れる瞬間。それは言葉にできないくらい小さな感情かもしれないけど、たしかにそこにある

「Love」は、そんな繊細な揺れを見逃さずに真正面から歌い切った曲なんじゃないかなって思います。

 

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③ T-BOLANの歌詞には女々しさ…

T-BOLANの歌詞には、良い意味で女々しさを感じるものが多いです。

強さよりも弱さをさらけ出すような歌が多いんですよね。だけどT-BOLANの魅力は、むしろその“女々しさ”にこそあるんじゃないかと思うんですよ。

「Love」に出てくる男も、カッコつけたりせず、うまく言えなくて拗ねたり、素直になれなくて距離を取ったり、そんな不器用な姿がとてもリアルで。どこか自分とリンクして、だからこそ曲に浸ってしまう。

 

「今夜 いつもと違う俺でいさせてよ」

このセリフから感じるのは、強がらずに自分の弱さを見せたいという覚悟、想いをちゃんと伝えたいという願い、そして“受け止めてほしい”という弱さ。

そして、拗ねていた夜にしばらく沈黙が続いて、ようやく口にした「LOVE(愛してる)」のひと言。

そのあと、二人がただそっと抱き合って、ぬくもりで全部を伝え合ってるような、そんなシーンが目に浮かびます…。

 

T-BOLANは、不器用さや迷いまでも包み込んで、ちゃんとロックとして鳴らしてきたバンドだと思うんです。

ただ「女々しい男」ではなく、その女々しさの中にある誠実さとか、本気の想いを最高のメロディに乗せられる。

だから「Love」を聴くと、大人になった今でもふと涙腺がゆるむんですよね。

格好をつけない、でも真剣に誰かを想う。その歌にこれからも何度でも泣かされるんでしょうね…。

 

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