①中学生の頃、音楽に…

中学生の頃、音楽に本格的にハマり始めた私は、洋楽ではビートルズやカーペンターズ、邦楽ではB'zを聴き漁っていました。しかし、よくよく思い出してみると、B'zよりも先に、いや、ほとんど同時期に、私はKATSUMIさんの音楽に夢中になっていたのかも。

KATSUMIさんとの出会いは、1991年リリースの2ndアルバム「ONE」でした。オリコンチャートでも5位を記録したこのアルバムのタイトル曲「ONE」は、当時のJ-POPシーンでは異彩を放つ、組曲のように曲調が展開していく壮大でドラマチックな楽曲。シングル曲ではなかったため、チャートの上位にはランクインしなかったものの、私の中では後世に語り継がれるべき名曲なんですよね。

 

YouTube【OFFICIAL】KATSUMI / ONE MV 2023 Re-edit ver.

 

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②当時の音楽シーンを大きく超えた曲

KATSUMIさん自身も後に、「もしかしたら、時代的に曲の発表が早すぎたのかもしれない」と語っているように、「ONE」は当時の音楽シーンを大きく超えた作品だったと感じます。

中学生だったあの頃、周りの友達はB'zやaccessに夢中。そんな中、私は一人、KATSUMIさんのベストアルバム「Linkage」を宝物のように抱え、その音楽に浸っていました。友達の家でみんなでゲームをする時も、友達の家にあったCDラジカセで「Linkage」を聴いていたのは、今となっては良い思い出です(笑)。

 

 

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③クイーンからの影響

KATSUMIさんの音楽は、「ONE」をきっかけに大きく変化しました。それまでのキャッチーなポップソングから、よりスケールの大きな、ドラマチックな楽曲へと進化したのです。この変化の背景には、KATSUMIさんの音楽に対する深い探求心と、フレディ・マーキュリー率いるクイーンからの影響があったと言われています。

 

KATSUMIさんが自身の音楽を通して「何を伝えたいのか」を明確に自覚し、その世界観を追求するようになったきっかけが、まさにこの「ONE」でした。この楽曲は、KATSUMIさんの魂そのものを表していると言っても過言ではないと思う。

 

ところで、「ONE」を聴くと、クイーンの「Bohemian Rhapsody」や「March of the Black Queen」の影響を強く感じるのは私だけではないはず。楽曲構成の複雑さ、そして壮大な世界観に共通するものがあるからなんでしょうね。

 

「ONE」は、雰囲気が大きく異なるセクションが組み合わさって構成される、まるで小さな組曲のような楽曲です。「Bohemian Rhapsody」や「March of the Black Queen」を聴いたことがある方なら、きっとピンとくるはずです。特に、楽曲の中盤から後半にかけてのドラマチックな展開は、クイーンの楽曲のエンディングを彷彿とさせる、劇的な盛り上がりを見せてくれます。

KATSUMIさん自身が影響を受けたと語っているように、「ONE」にはクイーンの音楽が持つドラマチックな展開や壮大な世界観が色濃く反映されているんですね。

 

 

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④スタッフを説得して英語詞に

楽曲の冒頭部分が英語詞で歌われているのは、日本語で表現しようとすると、どうしても楽曲の世界観が崩れてしまうからだとKATSUMIさんは語っています。当時のJ-POPシーンでは、短い英語詞を挟み込むことはあっても、冒頭からこのように長く英語で歌う楽曲は非常に珍しかったため、スタッフを説得して自身の表現を貫いたそうです。

 

しかし、「ONE」はこれほどまでにクオリティの高い楽曲にもかかわらず、当時の音楽市場で大ヒットには繋がりませんでした。その理由として考えられるのは、それまでのキャッチーなポップソングから、壮大なスケールの楽曲へと変化したことが、時代のトレンドと合わなかったこと、そして当時のプロモーション戦略が上手くいかなかったことなどが理由だと思う。

 

当時のJ-POPシーンでは、一度聴いただけで口ずさめるような、キャッチーなメロディの楽曲が主流でした。何度も聴き込むことでその魅力がわかる「ONE」のような複雑な構成を持つ楽曲は、ラジオやテレビでの露出も少なかったのかもしれません。

 

また、当時の音楽シーンを牽引していたB'z、WANDS、ZARD、T-BOLANといったビーイング系のアーティストと比較すると、KATSUMIさんのプロモーションはやや弱かったように感じます。ビーイング系のアーティストは、CDそのもののCMがテレビで頻繁に放送されていましたが、KATSUMIさんのCMタイアップは多かったものの、そこまでのプロモーションはなかったように思います。

 

「T-BOLAN 12thシングル マリア 1994.9.5 on sale!!」のようなCDのCMは、当時の音楽番組でよく見かけました。今では考えられないけれど、CDを売るためだけのCMが流れていたのは、当時の音楽シーンの勢いを象徴しているように思います。

 

 

「ONE」は、KATSUMIさんの音楽家としての信念と、時代に対する挑戦が込められた、まさに魂の楽曲。たしかに複雑な構成は時代に合わなかったのかもしれない。だけど、私にとって「ONE」は青春時代の思い出が詰まった、時代を超えて心に響くかけがえのない曲なんです。

 

 

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