①シンセサイザーの印象的なリフで…
スクーデリア・エレクトロの4枚目のアルバム『Flamingo』のラストに収録されている「静かの海」。
初めて聴いたとき、思わず息をのんでしまった。
たった2分ちょっとの短いインストなのに、心の奥にスッと入ってくる。不思議だけど、すごく印象に残る曲で。
冒頭ほんの数音だけで、まるで静かな夜に月の光がそっと差し込んでくるみたいだった。
派手な展開があるわけじゃない。でも、だからこそ余計に耳をすませたくなるような美しさがある。
そんなことを思ってるうちに胸がじんわりしてきて、なんだか理由もなく泣きたくなってしまうんですよね。
YouTube【静かの海】
②歌詞の無い曲なのに景色を…
「静かの海」が月に実在する地名っていうのは前から知ってたけど、それを知らずに聴いたとしても“月”や“星空”のイメージが浮かんできただろうなと思わせる、そんな綺麗な音色。
歌詞の無い曲なのに、こんなにも簡単に景色を想像させてくれるのはすごい。
「静かの海」が収録されているアルバム『Flamingo』は全体的にシンセが煌びやかで、どちらかと言えばポップでエネルギッシュなアルバムなんだけど、アルバムのラストにこの曲がふっと力を抜いたように置かれてて。
最後にこの静けさで終わるからこそ、全体を通して聴いたときの余韻がぐっと深くなる気がする。
2年後の2001年にリリースされた5thアルバム『5iber!』には、この曲のアップテンポな歌詞入りバージョンも入ってます。でも正直、私は歌詞無しのオリジナルバージョンのほうが断然好きですね。
何も語らないからこそ、自分の気持ちや景色をそのまま重ねられるし、ただぼんやり聴いてるだけでも感情がじわっと動かされるというか…。
たった2分ちょっとなのが本当にもったいなくて、毎回「もう少しだけ…」って思いながら何度何度もリピートしてしまう。
短いのに、こんなに長く心に残る曲ってなかなか出逢えないと思う。
派手な曲じゃないけど、静かに響いて、あとに残る。
疲れてるときとか、何も考えたくない夜にただ流しておくだけで心が癒される、そんな一曲です。