生きていれば誰でも一度は人生のどん底に落ちたような気持ちになったことはあるんじゃないでしょうか?
仕事の悩み、恋愛の悩み、健康の悩み、お金の悩み、人間関係の悩み…。
深く落ち込んで自問自答のループにいったん入り込んでしまうと、無気力感に襲われたり、自分を責めてしまったり、そこから抜け出すのは簡単なことじゃありません。
でも、自分と同じような挫折・葛藤を経験した人に共感してもらえると、
と思えて少し気持ちが楽になりますよね。
ということで今回は、人生のどん底だと感じるほど落ち込んだときに同調してくれる歌詞を持ったおすすめの曲をまとめました。
【目次】
①「僕が死のうと思ったのは」- 中島美嘉
あなたが綺麗に笑うから
きっと生きる事に真面目すぎるから
amazarashiの秋田ひろむさん提供によるシングルで、それまでの中島美嘉さんのイメージにはなかった衝撃的な曲名に驚いたファンも多かったことだろうと思います。
タイトルから連想されるように、孤独感、閉塞感、悲愴感を感じる歌詞によって作り上げられたどん底感が、時にストレートに、時に誰も思いつかないような表現で歌われています。
(ドン・キホーテ…騎士道物語を何度も読み過ぎて気が狂ってしまった50歳のドン・キホーテが主人公のスペインの冒険小説)
同じように六畳一間のワンルームで毎日をギリギリの精神状態で過ごしている人には、胸に響く言い回しなんじゃないでしょうか。
最後は希望の光が見える終わり方なので「僕が死のうと思ったのは」は最後まで聴かないと曲の良さはわかりません。
昭和の名曲「上を向いて歩こう」にも通じるどん底感を、amazarashi風にオブラートに包まない剝き出しの言葉で表現した名曲です。
②「ギルド」- BUMP OF CHICKEN
誰か構ってくれないか 喋らないで 思っているだけ
とりあえず汗流して 努力をしたつもりでいただけ
2004年のメジャーデビュー2ndアルバム「ユグドラシル」に収録されている曲で、歌詞は藤原基央さんがギターの弦を張り替えながら30分程度で完成させたんだそうです。
就職氷河期も影響したのかわからないけど、就職に失敗した上、持病もあって今後の人生にかなり悩んでいた20代。
「俺は人間という仕事をクビになったのか?」
「疲れたからって努力してきたつもりになってるだけなのか?」
時代のせい、病気のせいにして色んなことを諦め続けてきた当時の私。
歌詞がまるで自分のことを歌ってるんじゃないかと感じるほどその時の心境に合致していて衝撃を受けたのを覚えています。
この曲を聴くと頬を引っぱたかれたような気持ちになるけど、余韻はなぜか温かい。
生きることを仕事だと思ってしまうほど余裕がなくなりとことん落ち込んだ時には、今でも必ず聴きたくなる1曲です。
③「深夜高速」- フラワーカンパニーズ
心の中の漂流者 明日はどこにある?
生きててよかった そんな夜を探してる
インディーズ時代の曲でライブ会場限定で手に入れることができた「深夜高速」は、曲に感動した関係者からの勧めもあり2004年に16枚目のシングルとして発売された曲。
その後2009年には、13組のミュージシャンがそれぞれのアレンジでこの曲だけをカバーしたトリビュートアルバム「深夜高速 -生きててよかったの集い-」も発売されています。(※フラワーカンパニーズによるオリジナルも収録)
死にたいほど辛くて、明日を生きるのも嫌になる瞬間は腐るほどあるのに「生きててよかった」と感じられる夜はほとんど無い。
そんな夜に聴くと、「生きててよかった」と実感できる日まで何とかもがいてみようかなと思わせてくれる歌詞、演奏、そして感情的で魂の叫びのようなボーカル。
失望、絶望して生きている意味を見出せず疲れ果てて、真っ暗なトンネルの中にいるような気持になった時に私の希望の光になってくれる曲です。
④「DARMA GRAND PRIX」- RADWIMPS
この世は 眠れぬ夜と死体、
多忙、貧乏、退屈と期待から
いかにして逃げ遂せるかの
だるまさん転んだの 逆再生
2013年に発売されたメジャー5thアルバム「×と〇と罪と」に収録されている曲で、読み方は「ダルマグランプリ」。
これまで聴いてきたRADWIMPSの曲の中では覚えやすい方だけどその反面、ギター、ベース、ドラムすべての音とリズムが超絶にカッコよくて痺れる曲。
「ダルマさん転んだ」は、動いているのがバレないように徐々に鬼役に近づいてタッチする昔ながらの遊びですよね。
生きていくうえで避けて通ることのできない苦しみや悲しみを鬼に例えて、その鬼から逃げるためのダルマさん転んだを歌詞にしていのが凄い。
ちょっと気持ちが滅入っているとき無性に私が口ずさみたくなる、希望と絶望の中間くらいの世界観。
明るい曲ではないけどノれるメロディなので、車で曲を流しながら歌詞を噛みしめて歌っていると、
「なんとか明日も頑張ってみるかな…」
と少し前向きな気持ちになれる曲です。
⑤「涙 ~モノクロver.~」- 森山直太朗
儚き夢の後先 今日も振り返る
愛して愛すそれだけなのに 空はこの目に美しい
最後まで聴かないと曲の真意が伝わらないために賛否両論あった名曲「生きてることが辛いなら」の次のシングルとして、2009年に発売された曲。
息が止まるほど艶やかなメロディと、日本語の美しさを思い出させてくれる雅な歌詞に身をゆだねていると、悲しみ、苦しみがやわらいで自然と涙が込み上げる。
さらに、体中の細胞に染みわたり心が浄化されていくような心地よさを持った、二胡(にこ)のように幽玄な響きの歌声。(※二胡…中国の伝統的な楽器)
どん底まで落ち込んでいる時はもちろんのこと、いつ聴いても、何度聴いても、感動で胸が震えて涙があふれてくる不朽の名曲です。
個人的にはアルバムに収録されている通常のバージョンよりも、初回限定版シングルに収録されているピアノとボーカルのシンプルな「涙 ~モノクロver.~」の方が、曲の美しさと森山直太朗さんの神がかった歌声にどっぷりと浸れるのでおすすめです。
⑥「Any」- Mr.Children
夢中で探してきたけど
間違いじゃない きっと答えは一つじゃない
大学を卒業して就職した2002年に発売されたミスチルの23枚目のシングルで、NTTドコモのCMソングとしてテレビで頻繁に耳にしていた思い入れの深い曲。
大学生活、就職、恋愛、すべてが自分の思い描いていたものとは違うことに喪失感を感じていた当時の私。
「もっと頑張っていれば違う人生を送れていたんじゃないか…?」
今でも、自問自答して過去の自分を否定したくなったときこの曲を聴くと、すっと心が軽くなったような気分になるような気がします。
「今までの自分を責めなくていい、間違っていたわけじゃないんだよ」
なぜこんな自分になってしまったのか理由を無意味に探してもがき苦しんでいるのを見抜いているかのような歌詞に励まされ、何度救われたかわかりません。
ちなみに、サビの一瞬のファルセットは桜井さんがピアノで作曲している最中にお子さんが鍵盤を弾いたことがきっかけで生まれたメロディなんだそうです。
⑦「風に流離い」- amazarashi
無気力のまるで生きてる死体
生きてるプライドは捨てきれない
行ったり来たりのギリギリのサイン
早く朝よ来いと願うばかり
中島美嘉さんの「僕が死のうと思ったのは」を作詞作曲した秋田ひろむさんがボーカルのバンド、amazarashiの5枚目のミニアルバム「ねえママ あなたの言うとおり」に収録された曲。
鬱屈した負の感情をぶちまけたような自虐的な歌詞。
ここまでネガティブな歌は聴いたことがないというくらい、歌い始めから歌い終わりまで絶望的に孤独な状況が表現されています。
打破できそうにない壁に阻まれて死にたいほど悩んでいる人、生きることに疲れ果ててしまった人は、初めて聴いた瞬間はかなりの衝撃を受けて何回も何回もリピートするに違いありません。
悲痛さを内包した秋田ひろむさんの説得力のあるボーカルにも、涙が出るほど心をえぐられてしまう。
優しく包み込んでくれるわけでもなく、そっと背中を押してくれるわけでもない。
「お前はもうどん底の社会不適合者なんだよ。他の道なんて選べないんだからそのまま進むしかないんだ」
この曲を自分とリンクさせてとことん落ち込んで浸りたい人もいれば、ショック療法的に前を向けるようになる人もいると思う。
この曲が聴きたくなったときはできるだけ部屋を暗くして曲の世界に没頭すれば、落ちるところまで落ちた気持ちもほんの少しだけ楽になれるかもしれません。
⑧「PRIDE」- CHAGE and ASKA
呟きながら 階段を登る
昨日のニュースと手紙があった
君の別れを 何度も見つめてた
1989年に発売された12枚目のオリジナルアルバム「PRIDE」のタイトル曲。ファンの間で絶大な人気を誇る曲ですがシングルにはなっていません。
他の追随を許さないほどドラマチックなイントロからの、「思うようにはいかないもんだな」というフレーズ。
今まで数えきれないほど心の中で呟いてきたどこにでもある言葉に、こんなに心のど真ん中を射抜かれるとは思いませんでした。
メロディ、歌声、表現力、どれもが感動的で、こんなにすべての歌詞が胸に突き刺さる曲はなかなかありません。
人生の階段を踏み外し、転んで怪我をして昇ることをあきらめたくなった時もこの曲を聴けば、しっかりと前を見据えながらまた進むことができる。
大きく包み込んでくれるような安心感と、胸を張って生きていこうと思わせてくれる力強さを兼ね備えた、生涯離れることのできない大切な曲です。
⑨「未来飛行」- 徳永英明
↓出典:Youtube
心休めて空を きれいと言えない
だから今を迎えて あなたにありがとう
1995年にリリースされたシングルで、オリコンチャートでは13位を記録した曲です。
この曲は徳永英明さんにお子さんが生まれたころに作られた曲で、子供への愛情に満ちた心温まるバラードナンバー。
軽やかなギターのテンポと郷愁的なメロディを聴いていると、少年時代に戻ったような懐かしさと心地よさに包まれます。
空の美しさにも気づくことができないくらい余裕がなく忙しい毎日。
気持ちもどん底まで落ち込んで、気づけばいつの間にかもうこんな歳になってしまった。
「生きていれば忙しいのは誰にでもあることだから、忙しさに負けちゃいけない。だけど、無邪気だった子供の時のようなゆったりとした時間があってもいいんだよ」
と優しく語りかけてくれている気がして、聴き終わったあとには心の重りが軽くなったような晴れやかな気持ちになれる曲です。
⑩「蒼氓」- 山下達郎
吹きすさんだ風に怯えくじけそうな心へと
未来へと続いている
1988年のアルバム「僕の中の少年」にひっそりと収録され、その後1995年のベストアルバム「Treasures」にシングル以外の曲として唯一収録された曲。
曲を締めくくるコーラス部分には山下達郎・竹内まりや夫妻に加え、サザンオールスターズの桑田佳祐・原由子夫妻が参加していることでも有名。
目を閉じて聴いていると、雄大に連なる山の尾根に沈んでいく夕日の美しさ、オレンジと群青がグラデーションになった神秘的な空の情景がまぶたの裏に鮮やかに映し出される…。
ゴスペルのような荘厳さで、どんなに必死になっても報われない毎日にわずかばかりの希望を灯し、喪失感や無力感から解放してくれる曲です。
東日本大震災の後、この曲で元気をもらったというコメントをネットで多く見かけたのもわかる気がします。
⑪「心のままに」- ゆず
時おり自分を見失いそうになる
飲み込まれてしまうのかい?
1998年に発売された8枚目のシングルで、ストリートミュージシャン時代にすでに作られていた曲。
ストリートミュージシャン時代、現実という壁にぶちのめされてもがき苦しんでいたゆず本人の戸惑いを、飾らない言葉で表現したメッセージソング。
歳をとるにつれ実感する社会の理不尽、矛盾、葛藤に翻弄されて自問自答している自分に向けて「心のままに進めばいいんだよ」と力強く導いてくれる歌詞が胸に響きます。
誰よりもゆず自身がこの歌に救われたと言っているほど2人の想いが込められた曲なので、情熱的で説得力のあるボーカルに胸が熱くなってしまうのも当然かもしれません。
⑫「花」- 中孝介(あたりこうすけ)
行き先のない 日々は暮れゆき
明日に揺蕩(たゆた)う 歌をうたおう
この曲の作曲は森山直太朗さん、作詞は御徒町凪さん。名曲「さくら」を世に送り出した2人により提供された2007年のシングルです。
「地上で最も優しい歌声」と称賛されるほど透き通った異次元の歌声と、奄美民謡の特徴である「グイン」と呼ばれる唱法の持つ独特な響きには一瞬で心を奪われてしまいます。
深く傷ついたり、思い描いていた夢が儚く散ってしまったり、抗いようのない困難に直面してしまったりしたときには限界まで打ちのめされて、立ち直るきっかけがなかなか掴めませんよね。
だけど咲く場所を選べなくてもそこでただ凛々しく咲いている花は、ありのままでいることの美しさを教えてくれる。
そんな風に優しく力強く歌われる「花」を聴き終わった後は、いつのまにか顔を上げて前向きになれている自分に気づきます。
失意のどん底に落ちても自暴自棄にならず等身大の自分で生きていこうと思える、圧倒的な温もりを持った後世に歌い継ぐべき名曲だと思います。
⑬「悲しくてやりきれない」- ザ・フォーク・クルセダーズ
今日も遠くながめ 涙をながす
だれかに告げようか
今から53年前、1968年(昭和43年)に発売されてオリコン6位を記録したザ・フォーク・クルセダースの曲。
もともと発売予定だったシングルが政治的な理由で発売中止になってしまい、ギターと3時間のタイムリミットだけで新たに1から作るように指示されて完成した曲です。
「絶望感」「喪失感」「敗北感」「無力感」「孤独感」…自分を否定する言葉で頭がいっぱいになって、耐えがたい悲しみに押しつぶされそうな気持を代弁してくれる歌詞。
「この歌を作詞した人も今の自分と同じ心境だったんだろうか…」
そう想像すると、自分だけがどん底に落ちているわけじゃないんだと思えて、張りつめていた心の糸が少しゆるんだような気持になれる。。
どうしようもないほど人生に悩んで苦しんで、出口が見つからない時に無性に聴きたくなる昭和の名曲ですね。
今の時代よりも低い音質と、昭和ならではのシンプルなアレンジが逆に曲を悲しげな雰囲気にしていることも、とことん悲しみに浸ることができる理由なのかもしれません。
こんな素晴らしい曲がわずか3時間で急ごしらえされたというのが本当に信じられないです…。