①収録アルバム情報

  • 発売年:1979年
  • 収録アルバム:Adventures in Utopia(アドヴェンチャーズ・イン・ユートピア)
  • アルバム最高位:全米32位

 

②トッド・ラングレン(Todd Rundgren)により結成されたバンド

独自の解釈でポップミュージックをオタク的に追求してきたトッド・ラングレンは、『音の魔術師』の異名を持つミュージシャン。

出すアルバムごとにいろんなコンセプトを持たせてテイストを変えてくることが多く、アルバムによって曲の雰囲気がガラッと変わるのが特徴です。

トッドは、ホール&オーツ、チープトリック、XTCなどなど、多くのアーティストのプロデュースを手掛けたこともある多彩な人。

ただ、偏屈なまでにポップ道を追い求めてしまった為なのか、リリースしたCDが多いにもかかわらずチャートの上位まで食い込んだ作品はほとんどありません。

 

 

トッドはソロでの活動と並行して、サイドプロジェクトバンドである『ユートピア』のメンバー&メインソングライターとしても活躍していました。

ユートピアは最初こそプログレっぽい音づくりだったけど、4枚目のアルバム「アドヴェンチャーズ・イン・ユートピア(Adventures in Utopia)」あたりからはだいぶポップ寄りの曲調に変化。

その4枚目のアルバムからシングルカットされた「セット・ミー・フリー(Set Me Free)」は、軽やかなテンポとキャッチーなメロディが絶妙に融合したド直球のポップソングです。

トッドはソロだけでなくユートピアでも商業的なヒットには恵まれなかったけど「セット・ミー・フリー」はアメリカで27位を記録。

ユートピア名義の曲としては最大のヒット曲になっています。

 

↓Youtube【Utopia - Set me Free】

 

Songwriter(s)  -   Rundgren, Powell, Wilcox, Sulton

There ain't no reason why you let me wait
Just give me up and i will go
Let's set it straight
Got a right to who i am
And if i don't fit your plan then set me free
But you refuse to set me free
And you deny me of my needs
You have me under lock and key
Just set me free just set me free
You never cared for what i had to say
It's just because you got to have it all your way
Well i ain't no superman
If that's what you demand then set me free
Couldn't you please just set me free
You get your fun just hurting me
If this is how it's going to be
Just set me free just set me free
Now i deserve to be as mad as hell because
I just don't get it
I place myself in your hands to fall
But i'm not quitting (no)
Feels like the time we spent was going to waste
Sooner or later it's goodbye we're gonna say
'cause you just don't give a damn
So go find some other man and set me free
Just don't refuse to set me free
You can't deny me of my needs
Just turn your head to hear my plea
Just set me free just set me free
Couldn't you please just set me free
You get your fun just hurting me
If this is how it's going to be
Just set me free just set me free
キミが僕を待たせる理由なんてないんだよ
僕のことは諦めてくれ、僕は行くよ
僕らの関係を整理しよう
僕は僕自身でいるための権利を持ってるんだ
もし僕がキミの計画に合わないのなら僕を自由にしてほしい
だけどキミは僕が自由になるのを拒否してる
僕が必要なものを否定する
しっかりと鍵をかけて僕を管理してるのさ
僕を解放してほしい 僕はただ自由になりたいだけなんだ
キミは僕の言ったことを気にしようともしなかった
それはキミが思ったようにならなかったから
僕はスーパーマンじゃないんだよ
もしそれがキミの要求なら僕を解放してほしい
お願いだから僕を自由にしてくれないか
キミは僕を傷つけて楽しんでるだけなのさ
もしこれからもそんな風になるんなら
僕を解放してほしい 僕はただ自由になりたいだけなんだ
僕が猛烈に怒っているのも当然さ
意味が分からないから
僕はキミの手のひらに倒れるように身を置くけど
やめたりはしない
僕らは無駄に時間を費やしたような気がする
遅かれ早かれサヨナラを言うことになるだろう
キミは痛くも痒くもないんだから
だから誰か他の男を見つけに行って、僕を自由にしてくれよ
僕が自由になるのを拒否しないで
僕が必要なものを否定しないで
振り向いて僕の申し入れを聞いてほしい
僕を解放してほしい 僕はただ自由になりたいだけなんだ
お願いだから僕を自由にしてくれないか
キミは僕を傷つけて楽しんでるだけなのさ
もしこれからもそんな風になるんなら
僕を解放してほしい 僕はただ自由になりたいだけなんだ

 

③ワクワクする軽やかなギターのイントロ

ソロの曲、ユートピア名義の曲、どちらもそれなりにたくさん聴いてきたので好きな曲はたくさんあるけど、その中でも「セット・ミー・フリー」は1,2を争うほど好きな曲です。

熟練の職人みたいにポップ道を追求しすぎて、万人には受け入れられなさそうなスルメ曲的なものも多いトッド。

だけどこの曲はシングル向け、ラジオ向けのフックが効いた3分間ポップソングになっています。

良くも悪くも一般受けしやすいタイプの曲で、小さい子供でも好きになれそうなわかりやすさがいいですね。

 

 

この曲で特に好きなのが、弾むようなキーボード(シンセサイザー?)の音色に合わせて演奏されるリズミカルでワクワク感をかき立てるギターのイントロ。

このチープで、レトロで、ちょっぴりファニーなイントロは一回聴いたら耳にこびりついて離れないくらい印象的です。

それと、最後のサビでキーが上がるところもシンプルだけど私的に垂涎のアレンジ。

アレンジとしては難しいものではないんだろうけど、もしこの転調がなかったとしたら何度も連続でリピートするほどこの曲にハマることはなかったかも…。

 

④トッドを知ったきっかけはライナーノーツ

私がトッド・ラングレンの名前を知ったきっかけは、他の洋楽アーティストのCDライナーノーツでした。

ライナーノーツっていうのは、国内盤CDに付属している歌詞カード冒頭2,3ページに記載されている解説文のようなもの。たいていは音楽ライターさんやCD販売会社の関係者さんが書いてます。

私が見たのはたぶんジェリーフィッシュとか、XTCとか、チープトリックとか、トッドと同じようなポップオタク系バンドのライナーノーツだったと思います。

そこには、そのバンドがトッド・ラングレンの影響を強く受けているみたいなことが書いてあったんですよね。

その頃の私は洋楽にどんどん興味を持ち始めていた時期だったこともあり、すぐにレンタルショップでトッドのベストアルバムを借りてみることに。

まさかそれが一度入ったら二度と出ることのできないトッド・ラングレンの素晴らしきポップワールドへ通じている扉だったなんて、当時は思いもしませんでした。

 

⑤トッド・ラングレン名義でのTOP10シングルは1曲だけ

トッド・ラングレン名義で最高位を記録したアルバムは、1972年リリースの「Something/Anything?」で、アメリカで29位。

同じくトッド・ラングレン名義のシングルで上位に食い込んだのは、その「Something/Anything?」に収録されている「Hello It's Me」がアメリカで5位、「瞳の中の愛(I Saw The Light)」がアメリカで16位。

他にも、1stアルバム「Runt」に収録されている「We Gotta Get You a Woman」がアメリカで20位のスモールヒットを記録しています。

 

そんなわけで、20枚以上のシングルをリリースしているトッドですが、母国アメリカで20位以内に入ったのは3曲だけ。

現在ではトッド・ラングレンの曲の中でフェイバリットソングとして挙げる人も多い名曲「夢は果てしなく(A Dream Goes On Forever)」なんてアメリカで69位が最高位なんだから、まったく意味が分かりません…。

 

↓Youtube【A Dream Goes on Forever (2015 Remaster)】