①オーストラリア出身のミュージシャン、Sia(シーア)

Chandelier(シャンデリア)はオーストラリア出身のミュージシャン、Sia(シーア)が2014年にリリースした17枚目のシングル。

2021年までのおよそ7年間の間にYouTubeではなんと23億回も再生されています。

都合のいい女として感情を押し殺す生活に苦しんで自己嫌悪に陥り、アルコールで現実逃避する女性。

それはまるで夜空に輝くシャンデリアにぶら下がって優雅に揺られているように心地よくて、明日のことなんてどうでもよくなってくる。

でも本当は、下(現実)を見るのが怖くてシャンデリアにしがみついているだけ、朝の光が怖くて今夜にしがみついているだけ。

そんな自分を恥ずかしいと感じ絶望しながらも、なんとか生きたいと願う不安定な心の内を叫ぶような鬼気迫る名曲です。

↓Youtube【Sia - Chandelier (Official Music Video)】

1000 Forms of Fear (1000 フォームズ・オブ・フィアー) / Sia (シーア)
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②PTSD、アルコール依存、希死念慮に苦しみ引退を考えたことも

Siaは子供のときの虐待が原因でうつ病やPTSDを発症。

そして21歳、1997年には最愛の恋人がタクシーにひかれて亡くなるという悲しい経験もしています。

一時は鎮静剤・アルコールの依存症に苦しみ、2010年には遺書を書いて自殺を計画しようとするまでになったうえ、パニック発作やバセドウ病まで発症してしまい心も体もギリギリの状態に。

最終的には多くの観客の目の前で歌うことを苦痛に感じ、引退も考えるくらい追い込まれてしまいます。

しかしそんな彼女の精神状態に反して曲はどんどんヒットしていく。

悩みに悩んだ結果、最終的には自分の顔を見せないで歌い続けることを選択したSia。

グラミー賞では背中を向けて歌うという斬新な方法でパフォーマンスを行ったことでも話題になりましたが、普段のステージでは鼻が全部隠れるほど大きなカツラを被ることで表情を隠しています。

Chandelierが収録されている、6thアルバムの「1000 Forms of Fear」は、2014年にアメリカのビルボードチャートで初登場1位を記録したアルバムであり、Siaが顔を隠して歌うようになった頃にリリースされたアルバム。

渇望と絶望の間でもがき苦しんでいたSia自身が作り、圧倒的な歌唱力で歌われるChandelierだからこそ、ここまで強烈に感動することができるのかもしれません。

③情緒不安定な歌詞とリンクするメロディとボーカル

Chandelierは、レゲエっぽい「ン、チャッ、ン、チャッ」のリズムと、シンディ・ローパーを思わせる鼻にかかったハスキーな声で始まります。

憂いを含んだ気だるい歌い方からは、閉塞した人生から抜け出せない女性の自暴自棄な感情が伝わってくる。

かと思えばサビに入った瞬間、脳に直接響いてくる叫びのようなロングトーンに変わる、情緒不安定な曲の展開。

何もかも嫌になってしまうほど心が疲れ切ってしまったときに聴いて、曲の世界観に全身全霊で浸りたくなる珠玉の1曲です。

【歌詞の和訳】
パーティーガールは傷つかないし, 何も感じない
いつになれば学ぶんだろう

感情を押しつぶして, 押しつぶして

私は呼べばすぐ来る都合のいい女
電話がきて, 男はドアのベルを鳴らす

私は愛を感じる, 愛を感じるの

(☆)
1 2 3, 1 2 3, で飲んで
1 2 3, 1 2 3, で飲んで
1 2 3, 1 2 3, で飲んで

数えられなくなるまで一気に飲み干すの

私はシャンデリアからぶら下がって揺れるのよ
シャンデリアから
まるで明日なんて無いみたいに生きるのよ

明日なんて無いみたいに

鳥になって夜の間ずっと空を飛び続けるの
涙が渇いていくのを感じるわ
私はシャンデリアからぶら下がって揺れるのよ

シャンデリアから

だけど私は必死にしがみついている
下を見ないように, 目を開けないように
朝の光が差すまでグラスを満たし続けていて

私はこの夜にしがみついていられればそれでいいんだから

助けて, 私は必死にしがみついているの
下を見ないように, 目を開けないように
朝の光が差すまでグラスを満たし続けていて
私はこの夜にしがみついていられればそれでいいんだから

この夜に    (★)

太陽が昇って心はめちゃくちゃ
すぐ出ていかなくちゃ, ここから逃げなきゃ

恥ずかしい, 恥ずかしい

(☆  ~  ★ 繰り返し)