①オアシスと親交の深いバンド

オーシャン・カラー・シーンは、オアシスが1995年に行ったライブツアーにも誘われるほどギャラガー兄弟と親交のあったバンド。

ちなみに一般的によく見るスペルは『Color』だけど、オーシャン・カラー・シーンのバンド名のスペルでは『Colour』になってます。

調べてみたら『Color』はアメリカでの表記、『Colour』はイギリスでの表記ってことで意味は同じみたいです。

 

 

1997年当時、飛ぶ鳥を落とす勢いだったオアシスの3rdアルバム「Be Here Now(ビィ・ヒア・ナウ)」。

奇しくもそのオアシスのアルバムを全英1位の座から引きずり下ろしたのが、親しかったオーシャン・カラー・シーンの3rdアルバム「マーチング・オールレディ」でした。

この時、オアシスのノエルは『世界で2番目にいいバンドになる』とオーシャン・カラー・シーンを称賛。

ノエルの性格を考えたら、この評価は最大級の賛辞と言ってもいいんでしょうね(笑)。

 

 

そしてこの2つのバンドの兄貴分なのが、スタイル・カウンシル時代の曲「シャウト・トゥ・ザ・トップ」で有名なポール・ウェラー。

なので、オーシャン・カラー・シーンも曲によってはポール・ウェラーに近いものを感じるかもしれません。

 

 

そんなオーシャン・カラー・シーンのアルバムの中でも、ブリティッシュロックの系譜を受け継いだ正統派な楽曲やUKバラード好きにはたまらない泣きのメロディで彩られている「マーチング・オールレディ」はおすすめ。

アルバムの2曲目に収録されている「Better Day(ベター・デイ)」はノスタルジックな雰囲気で曲全体が包まれた心温まるポップバラードで、90年代のUKバラードが好きな人ならきっと高確率でハマれる曲だと思います。

 

ちなみに「ベター・デイ」の歌詞にはメンバーが名前を変えて登場しています。

バンドとしてのリアルな経験を歌っているのか、それともメンバーを登場人物にした架空の物語なのか…どっちなんでしょうね。

  • Sonny = サイモン・ファウラー(ボーカル)
  • Davey/Minnie = デーモン・ミンケラ(ベース)
  • Stevie = スティーヴ・クラドック(ギター)
  • Harry = オスカー・ハリスン(ドラム)

 

↓Youtube【Better Day】

 

 

②歌詞の和訳

    Songwriter(s) - Ocean Colour Scene

    Sonny signed his name up for tomorrow
    And laughed with all his friends
    At all the little men who borrow tunes
    They heard just yesterday
    Davey got us down but we got away
    And drank to all the days
    That we had whiled away
    Just playing Robin Hood a little out of phase
    And then the nightmares come
    And you get blown away
    And up in your room your walls are cold
    You find your head is holding out
    For the welcome of a better day
    And then the nightmares come
    And you get blown away
    And up in your room your walls are getting colder
    Like you're getting on a roller coaster
    You can't find the breaks
    Stevie burned the sky when he flew away
    And left us things to say
    When all the world was falling down
    Around our shoulders, cold and grey
    Harry carried on in his usual way
    And Minnie went inside
    And came out once and we both cried
    And Minnie blew my head away
    (Repeat ※→★)
    When you're giving everything away
    Everybody lets you pay
    You're saving up for a better day
    Seeing things in a better way
    When you know you've got to live
    There's nothing you won't give
    To hear the phone and not let it ring
    Every Monday morning
    Shughie found love and he almost cried
    We laughed and wondered why
    We loved the sky and found the space
    And gazed out over Stevie's place
    And then the nightmares come
    When your friends go away
    And up in your room your walls are cold
    You find your head is holding out
    For the welcome of a better day
    (Repeat ★)
    ソニーは将来のために契約書にサインして
    仲間たちと笑い合った
    昨日聴いたばかりのメロディを借りてるのさ
    まったくちっぽけな奴らだよ
    デビ―にはがっかりさせられたけど俺たちは立ち去って
    毎日酒を飲んでいた
    のんびりと楽しかった日々を想いながらね
    少しズレたロビン・フッドを演じているみたいだった
    そして悪夢がやってきて
    お前は吹き飛ばされる
    立ち尽くしている部屋の壁は冷たくて
    自分の頭がなんとか正気を保とうとしていることに気づくんだ
    もっといい日を迎えるために
    そして悪夢がやってきて
    吹き飛ばされる
    お前が立ち尽くす部屋の壁はどんどん冷たさを増して
    まるでジェットコースターのように
    止められないんだ
    スティーヴィーは飛び去りながら空を燃やした
    そして俺たちに言い残したのさ
    全ての世界が崩壊し
    俺たちの周りに崩れ落ちて、冷たく灰色になった時に
    ハリーはいつものやり方で続けてた
    それからミニーは刑務所に入れられて
    一度だけ出てきたときに俺たちは2人で泣いたんだ
    そしてミニーは俺をぶん殴った
    (繰り返し ※→★)
    お前のすべてを捧げてしまったら
    お前が泣きを見るだけさ
    もっといい日を迎えるために
    もっと良く物事が見られるようにとっておくんだ
    生きていかなければならないことを知った時
    お前が与えられないものなんて何もない
    電話がきたら鳴らさないですぐに出るんだ
    月曜の朝にはいつでも
    シャギーは愛を見つけたのにほとんど泣いてばかり
    俺たちは笑い、なぜだろうと考えた
    大空に心を奪われた俺たちは視界に映った
    スティーヴィーの飛行機を見つめ続けた
    そして悪夢がやってくる
    お前の友達がいなくなった時
    立ち尽くしている部屋の壁は冷たくて
    自分の頭がなんとか正気を保とうとしていることに気づくんだ
    もっといい日を迎えるために

    (繰り返し ★)

     

     

    ③「レット・イット・ビー」風のイントロで…

    ビートルズの名曲「レット・イット・ビー」風のピアノの穏やかなイントロで始まるこの曲。

    ビートルズのラストアルバムあたりに収録されていたとしても違和感がないくらい、ビートルズっぽさが前面に出てます。

     

    まるで黄金色の淡い日差しが窓から差し込む春の午後のように穏やかで、どこかノスタルジックな雰囲気で包まれた切ないメロディに目が潤む。

    サビ前までは極端に主張することなくゆるやかだった演奏が、サビに入ると緊迫感を感じる変則的なリズムに一変。

    仲間との懐かしい記憶を思い出しているかのようにそれまでソフトだったサイモン・ファウラーの歌声に漂い始める、若さ故の焦燥感がなんともたまりません。

     

     

    私の個人的な「ベター・デイ」のハイライトは、2番のサビが終わった直後のブリッジ部分。

    穏やかな曲調から一転して、感情的に心の底から絞り上げるようなサイモンの歌声とそれに呼応するかのように激しくなる演奏。

    そしてバンドメンバー全員で情緒を爆発させた直後には、まるで何もなかったかのようにまた優しく紡がれるメロディ。

    動から静への急激な緩急に心が揺さぶられ、後に残るのは耐えがたいほどの切なさと心地よさ。

     

    『 And then the nightmares come… (そして悪夢がやってきて…) 』

    と寂しげに歌い、ノスタルジックな余韻を残す終わり方も最高です。

     

     

    ④今まで聴いてきた中で…

    世界中の誰もがどこかで一度は曲を耳にしたことがあると言っても過言ではないビートルズ。

    ビートルズの解散以降、ビートルズに影響を受けて結成されたバンドやビートルズを意識して作られた曲も当然多い。

     

    私が今まで聴いてきた中で『めちゃめちゃビートルズっぽい曲じゃん!』と思ったのは、オーシャン・カラー・シーンの「ベター・デイ」を含めてもう1曲だけ。

    それはオーストラリアのガレージロックバンド、Jet(ジェット)の2003年のデビューアルバムに収録されていたバラード「Look What You've Done(ルック・ホワット・ユーヴ・ダン)」という曲。

     

    ↓Youtube【Jet - Look what you've done】

     

     

    他には、トッドラングレン率いるユートピアが1980年に出したアルバム「Deface The Music(ミート・ザ・ユートピア)」もかなりビートルズっぽい。

    とは言っても後期ビートルズのバラードのような雰囲気ではなく、短くてポップな曲が多かった初期~中期の雰囲気。

    「ミート・ザ・ユートピア」はもともとビートルズのパロディ?的な要素が強いコンセプトアルバムみたいなもので、ビートルズを意識して作ってるわけだから、似てるというよりは似せてると言った方が正しいかもしれないですね。

     

    ↓Youtube    UTOPIA【I JUST WANT TO TOUCH YOU】