①収録アルバム情報

  • 発売年:1986年
  • 収録アルバム:Balance Of Power(バランス・オブ・パワー)
  • アルバム最高位:全英9位、全米49位

 

②世界最小のオーケストラ…と呼ばれたバンド

ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA(エレクトリック・ライト・オーケストラ)は1970年代にはアメリカで最も多くのトップ40位ヒットを記録。2017年にはロックの殿堂入りも果たしたイングランド出身のバンドです。

バンド名は直訳すると『電子楽器の小さな管弦楽団』みたいな感じ。

長いので略してELOと呼ばれることが多く、正式なバンド名で表記されることの方が少ないかもしれません。

日本ではテレビドラマ版の『電車男』のオープニング曲として使われた「Twilight(トワイライト)」や、ビールや車のCMで使われていた 「Mr. Blue Sky(ミスター・ブルー・スカイ)」あたりは洋楽ファンじゃない人でも耳にしたことがあるんじゃないかと思います。

 

 

1986年リリースの「バランス・オブ・パワー」は、シンプルかつキャッチーな耳なじみの良い3分間エレポップが堪能できるアルバム。

冒頭の2曲「ヘヴン・オンリー・ノウズ」「SO シリアス」や、シングルとしてヒットした8曲目の「コーリング・アメリカ」など佳曲ぞろいのこのアルバムの中でも私が特に好きなのは、3曲目に収録されているポップバラード「Getting To The Point (哀しみの地平線)」です。

 

恋人と別れなければいけなくなり茫然自失になった男。

「Getting To The Point」は、その男の心境を制御不能になった宇宙船に例えたような歌になっています。

 

成す術なく地球を眺めながら、ただただ宇宙を漂う男。

これからも制御不能のまま宇宙を漂いさまよい続けるのだろうかという悲壮感を感じる歌詞と、それに反してどこか優雅で穏やかなメロディ。

まるで地球に帰還するのを完全にあきらめて自暴自棄になってしまったかのようにも感じられます。

 

宇宙船をイメージしたCDジャケットや、ストリングスを融合させた曲作りから『スペース・ロック』と評されることもあったELOならではの、宇宙空間をゆったりと流れていくような浮遊感が心地いい曲ですね。

 

↓Youtube【"Getting To The Point" by Electric Light Orchestra】

 

↓Songwriter - Jeff Lynne

It's out of control (out of control)
And there's nothing I can do now
Out of control (out of control)
Spinning softly through the blue now
And look beyond these walls
As the meaning starts to dawn
It's getting to the point
Getting to the point
もう制御不能だ (コントロールできない)
今僕にできることはなにもない
もうどうにもならない (コントロールが利かないんだ)
ゆっくりと回転しながら青い光を通過していく
そして宇宙船の壁の外を見る
意味のある夜明けが来るように
俺はこの場所まで流されてしまった

この場所に辿り着いてしまった

 

It's out of control (nothing I can do)
Like a fire that keeps on burning
And nobody knows (what I'm going through)
And the thoughts just keep returning
And all you had to say
Was that you were gonna stay
It's getting to the point (getting to the point)
It's getting to the point
もう制御不能だ (できることは何もない)
まるで燃え続ける炎のように
誰も知ることはない (俺が経験しているこの状況を)
想いは何度も繰り返し心に浮かぶ
キミが言うべきだったのは
ここに留まり続けるという言葉
俺はこの場所まで流されてしまった

この場所に辿り着いてしまった

 

It's getting to the point
Where nobody can stop it now
It's getting to the point
Of no return
And all that I can do
Is stand and watch it now
Watch it burn, burn, burn
この場所に辿り着いてしまった
もう誰にも止められない
この場所に来てしまった
戻ることのできないところまで
今の俺にできるのは
ただ立ち尽くして眺めていることだけ

燃えて、燃えて、燃え続けるのを眺めていることだけなのさ

 

It's getting to the point
Where reasons are forgotten
It's getting to the point
Where no one knows
And all that I can do
Is say I'm sorry
But that's the way it goes
It's getting to the point
この場所に辿り着いてしまった
理由は忘れてしまったよ
こんな場所まで来てしまった
誰も知らない場所に
俺にできるのは
ごめんの言葉を言うことだけ
だけどそういうものさ、仕方がないんだ

この場所まで辿り着いてしまったことはね

 

Forever
Is a long, long way
Forever
Takes your breath away
I'd like to talk about it
Try to understand
It's getting to the point (getting to the point)
Getting to the point
永遠
それは気が遠くなるほどに長い (長い道のり)
永遠は
キミに息をすることも忘れさせる
僕はそのことについて話したいんだ
理解できるよう努力するよ
俺はこの場所まで流されてしまった

こんな場所まで来てしまった

 

(繰り返し ※ → ★)

 

③実質的にはジェフのソロアルバム

私がELOにハマったきっかけは、大学時代に出逢った「アウト・オブ・ザ・ブルー(1977年)」「ディスカバリー(1979年)」「タイム(1981年)」と、ELOがノリにノッていた時代の3枚のアルバム。

このアルバムの頃はどんどんシンセサイザーが多用されるようになって批判もあったみたいだけど、私はこの時代のELOが一番好み。

ちなみに世界的なセールスで最も成功したのがシンセサイザー寄りに大きくシフトしたアルバム「ディスカバリー」で、全英1位を5週間キープして、全米でも5位を記録するほど大ヒットしました。

 

「ディスカバリー」以降は、「タイム」「ザナドゥ」「シークレット・メッセージ」と3枚のアルバムを挟み、1986年に「バランス・オブ・パワー」が発売された時にはメンバーもジェフを含め3人まで減り、完全にシンセサイザー重視に。

曲も短めでポップなものがほとんどで、もうこの時代は『オーケストラ』といった感じは無く、実質的にはジェフのソロアルバムと言ってもいいかもしれません。

なので全盛期のクオリティや曲の構成、壮大さを求めてアルバムを聴くと肩すかしをくうかもしれないけど、ジェフ・リンの曲作りのセンスは衰え知らず。

それはジェフは1980年代後半以降には有名アーティストに数々の曲もプロデュースしてることからもわかると思います。

ただ、「バランス・オブ・パワー」のオリジナル版は収録曲数が10曲なのでちょっと物足りない感じはしますね…。

 

④ジェフはビートルズの未発表曲のプロデュースも

ELOのボーカルで作詞作曲を手掛けているジェフ・リンは、1995年に発売されたジョン・レノンの2曲の未完成楽曲「フリー・アズ・ア・バード(Free as a Bird)」「リアル・ラヴ(Real Love)」ではプロデューサーに選ばれたほど、才能が高く評価されているミュージシャン。

ちなみに「フリー・アズ・ア・バード」はビートルズの解散前のラストシングル「レット・イット・ビー」が発売されてから、ちょうど25周年を記念して作られたビートルズのアルバム「ザ・ビートルズ・アンソロジー1」の新曲として収録され、シングルにもなった曲。

一方の「リアル・ラヴ(Real Love)」「ザ・ビートルズ・アンソロジー2」に新曲として収録され、リリースされたビートルズのラストシングルです。

 

↓Youtube【The Beatles - Real Love】

created by Rinker
ユニバーサル ミュージック (e)
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ユニバーサル ミュージック (e)

 

残念ながら「フリー・アズ・ア・バード」はマイケル・ジャクソンの「アースソング(Earth Song)」に1位の座を阻まれはしたものの、シングルチャートでは全英で2位を記録しています。

「ザ・ビートルズ・アンソロジー1」があまりにも売れすぎたので、遅れて発売されたシングルをわざわざ買う人が少なかったこともシングルの売り上げ枚数が減ったことに影響したみたいですけど。

 

 

さらに、1988年のスーパーバンド『トラベリング・ウィルベリーズ』でもプロデューサー的な役割でヒットを飛ばしたジェフ。

類まれな才能を持った、まさに稀代のメロディメーカーと呼ぶにふさわしいミュージシャンだと思います。

 



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