【目次】
アルバム情報
- 発売年:1993年
- 収録アルバム:Are You Gonna Go My Way(自由への疾走)
- アルバム最高位:全英1位、全米12位
レニー・クラヴィッツ "ビリーヴ"
Lenny Kravitz(レニー・クラヴィッツ)は、ロック、ファンク、ポップなど、ジャンルにとらわれない幅広い音楽性でヒット曲を多数生み出してきたアメリカ出身のミュージシャン。
ジミ・ヘンドリックス、プリンスなどのブラックミュージックはもちろんのこと、ジョン・レノンの影響も受けていたことから『黒いジョン・レノン』とも呼ばれていました。
『黒い…』なんて呼び方は今の時代ではちょっと差別的な言い方だって騒がれちゃいそうですけど…。
レニー・クラヴィッツはボーカルとギターだけでなく、ベースやドラム、キーボードなどの楽器を演奏できるマルチプレイヤーとしても有名です。
そういったメインになりうる楽器だけでなく、グロッケンシュピールやカリンバなど、よほど楽器に詳しい人じゃないと聴いたことも無いような楽器まで使いこなす多彩さと、それを曲に活かすクリエイティビティも持っているスゴイ人。
ちなみに『グロッケンシュピール』っていうのは子供のころ音楽の授業で使った鉄琴のような楽器で、『カリンバ』ってのは小型のオルゴールみたいな形状をしていて、両手に持って親指で弾いたり撫でるようにして弾く楽器です。
4年連続!最優秀男性ロックボーカルパフォーマンス賞
そしてさらにスゴイのは、レニー・クラヴィッツはあの世界で最も権威のある音楽賞の一つであるグラミー賞において、1999年から2002年の4年間連続で最優秀男性ロックボーカルパフォーマンス賞を獲得してるんですよね。
受賞回数だけならブルース・スプリングスティーンみたいに5回も6回も受賞しているミュージシャンもいますけど、4年連続ってのは今後も破られることはないんじゃないでしょうか…。
1993年に発表された3rdアルバム「Are You Gonna Go My Way(自由への疾走)」はイギリスで1位、アメリカで12位を記録し、レニー・クラヴィッツの人気は不動のものに。
このアルバムの中で一番人気があるのは、日本でも多くのメディアで使用されたギターリフのカッコいいアルバム1曲目のタイトルチューン "自由への疾走" なんでしょうけど、私ハマった曲はサイケな雰囲気を持つ独特なバラード、 "ビリーヴ" でした。
- Are You Gonna Go My Way – 3:31
- Believe – 4:50
- Come on and Love Me – 3:52
- Heaven Help – 3:10
- Just Be a Woman – 3:50
- Is There Any Love in Your Heart – 3:39
- Black Girl – 3:42
- My Love – 3:50
- Sugar – 4:00
- Sister – 7:02
- Eleutheria – 4:48
▼ファンクでクールでオシャレな曲なら "Low" (※収録アルバム:Raise Vibration)
▼キャッチーな曲なら "ブラック・ヴェルヴェティーン" (※収録アルバム:5)
早朝に放送されていたCMの曲
私がまだ高校生だった1993年。
朝起きて眠い目をこすりながら朝ゴハンを食べている午前7時ころに必ず流れていたCMがありました。
それは、日産の『ラルゴ』っていう車のCMで、そのCMに使われていた曲が "ビリーヴ" でした。
ゆっくりと優雅に走る車に合わせて流れるこの曲を初めて耳にしたときは、あまりの美しさに心を奪われて学校に行く気が失せたことを覚えています…。
「この曲を最初から最後まで通して聴きたい!」
いてもたってもいられなくなって、その日の放課後のうちにレンタルショップへ。
「あれ?曲名を間違えたかな…?」
この曲をサビまで聴く前はそう思いました。
だってCMで聴いた時のあの感動とはまったく結びつかないような瞑想的なイントロが流れてきたんですから。
瞑想できそうなAメロ
中期ビートルズの "トゥモロー・ネバー・ノウズ" や "ア・デイ・イン・ザ・ライフ" にもどこか似たようなサイケデリックなイントロ。
サイケに移行していった中期ビートルズの曲は素晴らしいと思ってましたけど、私が 勝手に想像してた "ビリーヴ" のイメージとはあまりにもかけ離れてたんです。
イントロからAメロに入ったあとも、呪術的ともとれる独特なメロディだし、ボーカルはフワフワしたエフェクトが強めにかけられてるような感じだし。
曲名を間違えて覚えちまった…ってそこまではかなりガッカリしてました(笑)。
だけどサビに入った途端、それまでの呪術的、瞑想的な雰囲気は消えて、雲ひとつない青空のような広がりのあるメロディに曲が一変。
歌声も先ほどまでとはうってかわってエバーグリーンで、温かく包み込まれるような響きの歌声に変わり、感動と安らぎを同時に覚えるような不思議な感覚に陥りました。
レニー・クラヴィッツが持って生まれた声の特徴なのか、エフェクトをかけているのかわかりませんが、ユニゾンのように重なりを感じるステレオフォニックなボーカルだから強く心に響いてくるのかもしれません。
ちょっと宗教的な歌詞
"ビリーヴ" の歌詞はちょっと宗教的。
『神の子』とか『永遠の祝福を与える』だとかいう歌詞だけでなく、『神を信じることだ』みたいな歌詞も出てきます。
それに加えてサビのメロディが幸福感に満ちているからこの曲を聴くと神聖さや恍惚感のようなものが感じられるのかもしれません。
"ビリーヴ" は朝のCMで毎日聴いていた曲なのでどうしても私にとって朝のイメージが強く残っている曲。
だから今でも早朝の出勤途中の車の中で聴くと、
「眠いし学校いきたくねええええ」
というあの頃の懐かしくも嫌な記憶も思い出しちゃいます…。