【目次】
アルバム情報
- 発売年:1973年
- 収録アルバム:Naked Songs(赤心の歌)
- アルバム最高位:不明
ボブ・ディランと関係の深いアル・クーパー
ボブ・ディランが1965年に発表した曲、 "Like a Rolling Stone(ライク・ア・ローリング・ストーン)" にハモンドオルガンで参加したアル・クーパー。
多彩なアル・クーパーのアルバムの中でも傑作として評価が高い「Naked Songs(赤心の歌)」の6曲目に収録されているのが、 "Sam Stone(サム・ストーン)" という曲。
この曲はアル・クーパーのオリジナルではなくてカバー曲です。
ブルージーだけど荘厳な演奏、アル・クーパーの叙情的なオルガン、そしてソウルフルな歌声が原曲とはまた違った素晴らしいアレンジで、胸を打つ名曲に仕上がってます。
- (Be Yourself) Be Real
- As the Years Go Passing By
- Jolie
- Blind Baby
- Been and Gone
- Sam Stone
- Peacock Lady
- Touch the Hem of His Garment
- Where Were You When I Needed You
- Unrequited
軽い気持ちで購入したアルバム
昔、Sony Recordsから出されていた、過去の名作を廉価版として発売したシリーズ『SUPER NICE PRICE 1600』。
「1600円で歌詞もライナーノーツも付いてるし、良い曲が1曲でも入ってればいいか!」
そんな軽い気持ちでなんとなく買ったのが『SUPER NICE PRICE 1600』シリーズの一つ、アル・クーパーの「赤心の歌」。
ピアノを弾きながら神々しく歌っているアルバムのジャケット写真が、そのころピアノ志向だった私の興味をちょっどだけ引いた…くらいの理由でした。
購入していざ聴いてみると、歌声は渋く、ソウルフル。
ブルージーでありながら、アルバム全体にはゴスペル感も感じられる素晴らしいアルバムでした。
ちなみに、他の記事で書いたニッキー・ホプキンスのアルバム「夢みる人」も同じように『SUPER NICE PRICE 1600』シリーズで買ったのが聴き始めたきっかけです。
深夜の番組『感じるジャッカル』で曲が使われたことも
このアルバムに収録されている曲はキャッチーな感じではないので、日本ではライトな洋楽ファンに好まれるアルバムではないかもしれません。
「ある程度いろんな洋楽を聴いてきて、他のジャンルの曲も知ってみたい」
「もともと渋めな曲が好みだから、ギターがジャカジャカなってるロックとかポップとかは聴かない」
っていうような方じゃないと1度聴いて、うーん?ってなっちゃうかも。
私はこのアルバムを聴くまでに、それなりに洋楽をたくさん聴いてきたってのもあったのですんなり受け入れられたんだと思います。
だけど、このアルバムは今ではそこそこ日本でも知られているアルバムなはず。
アルバム3曲目の "Jolie(ジョリー)" が昔に放送されていたカルト的な人気のあった深夜のお笑い番組『感じるジャッカル』の主題歌になっていたので。
その頃にはテレビやラジオからアル・クーパーの歌声が聴こえてくることがちょこちょこあったような気がします。
この "ジョリー" はこのアルバムの中で唯一キャッチーで、どちらかと言えば万人受けするタイプの曲だと思います。
でも私にとってアルバムのハイライトは誰が何と言おうと、6曲目に燦然と収録されている "サム・ストーン" ですね。
原曲を歌っていたのはJohn Prine(ジョン・プライン)
"サム・ストーン" は、アメリカのシンガーソングライターであるJohn Prine(ジョン・プライン)という人が1971年にヒットさせた曲がオリジナル。
オリジナルの方を聴いたこともありますが、そちらはかなりシンプルにアコギで弾き語っている感じで、アル・クーパーのバージョンのように壮大な感じはありません。
アル・クーパーのアレンジはソウルフルなゴスペルと言った感じでバックの演奏もなかなかに分厚いですから。
歌詞の内容は、ベトナム戦争から帰ってくることができた兵士が心を病んでしまってドラッグ中毒になってしまったという感じなので、あまりポジティブな雰囲気の歌詞ではないです。
戦争の悲しさ、むなしさについて力強く歌うアル・クーパーの声と、バックのゴスペル風の広がりのあるコーラス。
相乗効果で細胞の深いところまで浸透するような感覚を覚え、感情移入MAXで泣けてくるほど感動します。
2番のサビと最後のサビでは、オルガンだと思うんですが、ものすごく曲の雰囲気を盛り上げており、この音がなかったらこの曲 "サム・ストーン" に対する私の感じ方も違ったものになっていたと思うほど。
最後のサビではやや転調してると思うんですが、そのあたりのアレンジも曲にある種の崇高さを与えていて素晴らしいの一言に尽きます。
最近はピアノを弾きながら歌うスタイルの曲紹介が多くなってしまっているので、できれば次回はピアノなどの鍵楽器がメインじゃない曲になるようにしたいです(笑)。